2023年04月

林親子、林父のお弟子さん、ほかにも銃に興味のある藩士たちが集まっている。  黒谷本陣の奥のほう、ひらけたところである。いくつか篝火をすえ、ちゃんと的も準備している。  林親子は挨拶したのち、相棒を撫でてくれる。  それから、エンフィールド銃を掌にとってじ ... もっと読む

  「……良い。謹慎部屋に篭ってろ」    行け、と土方が低い声で言う。松原は一度立ち上がろうとしたが、迷うようにその場に留まった。そして手を付くと畳に頭を擦り付ける。   「……ご温情痛み入ります。やけど、最後……最後にいっぺんだけ別れを言わして貰えへんや ... もっと読む

その様なことを考えつつ、桜司郎は沖田へ掛ける言葉を見付けられないまま、促されて部屋に戻っていった。 沖田はもう少し此処にいます、と言った。 サア…とそよ風が、桜司郎の背を見送る沖田の前髪を撫でる。土の香りが鼻腔を掠めた。 不意に沖田は口元に手を当てて、何 ... もっと読む

「俺の、言いたいことは分かるよな。…もう、お前さんは優しい田舎の道場主じゃねえんだ。伊東も良いが、俺らの声にも耳を傾けてくれ」   土方の言葉に近藤は何度も頷く。   「済まなかった、歳ッ…。山南君…ッ」   それを聞いた土方は安心したような表情になった。少 ... もっと読む

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