2020年12月

「相変わらずですね、皆さん」「ははは、そう簡単に人は変わらないさ。もちろん、君も」天井から来るあたりがね、と山南が笑う。空いた天井に目をやると、山崎が満面の笑顔で手を振っていた。こんな状況にしといて、後は高見の見物を決め込むらしい。紫音はやれやれと肩を竦 ... もっと読む

「そろそろ夕餉の支度せにゃぁ。山南さん、後はお願いします」「あぁ、私も行くよ。紫音さん、これ、持っていくといい」山南に差し出されたのは非常食。日持ちのする簡易な食べ物が入っていた。紫音も過去は常備していたもの。それを持たなかった自分に、つくづく油断してい ... もっと読む

まだ飲み足りないけど、もう帰りたい。私は財布を出そうとバッグに手を入れたけれど、次の瞬間動きを止めてしまった。「桜崎さんは、きっと僕のライバルですよね?」「……」一瞬、息をするのを忘れてしまった。「……何を言ってるのか、よく意味が……」「声、震えてますよ ... もっと読む

「本当は昔から、自分の気持ちを口に出すのが苦手なんですよ」「そうなんですか?」「だから、何を考えているのかわからないってフラれることが多かったですね。あと、思っていた感じと違ったって言われることもあったかな」「人は見た目でいろいろ判断しちゃうところがあり ... もっと読む

「とりあえずホテル着いたら、青柳一家と合流しよっか」「そうだな。青柳はもう着いてるみたいだし」ホテルに到着した私たちは、フロントで鍵をもらい今回一泊する部屋に向かった。甲斐は青柳一家と同じ部屋で、私と蘭が二人部屋だ。部屋には露天風呂が併設されていて、見晴 ... もっと読む

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