ルーズはいかにも狡賢そうな雰囲気のする男で(タゴロローム守備軍に爽やかな人物が果たしているのやら?)、ハンベエは一目見ただけで、好感の抱けない人間と判断してしまった。しかしながら、うろんな奴だから斬ってしまおうか、と考えるには、ハンベエも経験を積み、多少思慮が深まって来ていたので、短絡的過ぎると思うようになっていた。山を降りた当初はとにかく、誰でもいいから斬って経験を積もうと血眼になっoffshore company hong kongうなところがあったが、イザベラとの闘いの後、自分の強さがある程度確認できた事もあり、多少とも心にゆとりのようなものができてきたようだ。(そう言えば、何人斬った事になるのかな?・・・ハナハナ山の闘いの前までに斬った人数は79人だが、ハナハナ山で斬った人数をどう考えるか。・・・取り敢えず、現在の斬殺数をキリのいいところで、100人とするか。)ハンベエはルーズについて行きながらこう考えた。経験値100を得て、ハンベエのレベルが上がった。思慮が深まり、知力が上がった・・・らしい。「ここが、宿営だ。」やがてルーズが立ち止まって、手で示した。みすぼらしいほっ立て小屋というべきか、まあ、建設現場の仮設住宅をボロっちくした物を想像いただければ、あながちハズレていないだろう。ハンベエが中を覗いてみると、何十人分かのベッドが組まれていた。あるのはそれだけである。要は寝るだけのための施設らしい。合理的ではある。「貴様の寝床はそれだ。」ルーズがその中の一つを指差して言った。「了解です。」「よし、ここで立っていろ。しかし、貴様いい刀を持っているな。」ルーズはジロジロと舌なめずりするように、ハンベエの剣を見た後、去って行った。かなりの時間立ったまま待っていなければならなかった。ルーズが三人の男を連れてやって来た。三十代の、どれも一癖ありそうな奴らだ。三人はベルク、ハルク、トーマと名乗った。「ハンベエです。よろしくお願いします。」「挨拶も終わったところでハンベエ、貴様のその腰に差している剣。下っぱ兵士風情の持ち物にしては立派過ぎる。でだ、中隊長殿のお耳に入れたところ、喜べ、ありがたい事に中隊長殿がお使い下さる事となった。」会釈をしたハンベエにルーズが言った。ハンベエは思わず、こいつ何言ってるんだ、という顔をした。ルーズはその表情を見て、「分かりの悪い男だな。有り難くも中隊長殿が貴様の剣を気に入ったのだ。名誉な事だぞ。献上せい。」と頭ごなしに言った。(・・・何だ?・・・軍隊ってのは、強請りたかりの集まりかい。)ハンベエは怒りを通り越して、半ば笑えてきてしまった。しかし、笑ってばかりはいられない。このままでは、大事な大事な『ヨシミツ』が取り上げられてしまう。「返事はどうした。」班長のルーズはかさにかかるように言う。「分かりました。では、中隊長殿に献上したいと思いますので、会わせていただけますか?」「中隊長殿に・・・。」「自分から直接お渡しするのが筋でしょう。」「なるほど、いい心がけだ。直ぐに行こう、付いて来い。」ルーズは納得して、ハンベエを中隊長のところへ連れて行く事とした。全く、あっちに行ったりこっちに来たり、慌ただしい事ではある。少しばかり歩くと、天幕を張った前に床几に座った人物を紹介された。第五中隊中隊長である。歳は三十二歳、名はハリスン。中肉中背のスラッとした男でのっぺりとした伊達男風である。背後に雲をつくような巨漢が控えていた。ハリスンの部下であろうか。ハンベエも体の小さな方では無いが、その男は背の高いハンベエよりさらに一回り大きく骨太で筋骨隆々たる体躯をしていた。「中隊長のハリスンだ。まことに良さそうな刀だのう。」ハリスンは嬉しさを隠しきれない様子である。『ヨシミツ』はまだハンベエの腰にあるのだが、もうすでに手に入った気になっているのだろう。